【睡眠コンサルタントコラム】どうしてうまく寝られないの?~赤ちゃんの睡眠を知ろう~
乳幼児の睡眠コンサルタント『BABY SLEEP SCHOOL TOKYO』ゆいなだ陽子さん、吉岡ゆうこさんとのコラボ企画。
コラム第三弾は「どうしてうまく寝られないの?~赤ちゃんの睡眠を知ろう~」についてご紹介します。
はじめに
日本では指導を受ける機会が少ない「赤ちゃんのねんね」。赤ちゃんはよく寝るものと思っている方も多く、実際出産してみたら全然寝てくれなくて想像と違った、なんて話をよく耳にします。また、夜泣きするのは仕方がないからママは耐えるものと、自分の睡眠を削って毎日頑張っている方もいらっしゃいます。
ひとりの尊い命を24時間預かっているわけですから、本当に皆さん毎日お疲れ様です!
赤ちゃんが寝てくれないと、寝かせ方が悪いのかな、ねんね上手に産んであげられなかった、などと自分を責めてしまうママもいらっしゃるかもしれません。実は、赤ちゃんの睡眠はそもそも大人と異なる部分も多く、それがうまく寝られない理由につながっているということもあるんです。赤ちゃんの睡眠の性質を知っておくだけでも、そういうものなんだ、と少し気持ちは楽になるかと思います。
そしてうまく寝られない理由があるということは、その対策だってあります。今回のコラムでは、赤ちゃんがうまく寝られない理由と対策をお伝えしていきます。
1. 赤ちゃんの未熟な睡眠メカニズム
ちょっと難しい話になってしまいますが、ここでは睡眠のメカニズムをみていきましょう。
レム睡眠とノンレム睡眠
レム睡眠とノンレム睡眠という言葉は聞いたことがある方も多いと思います。
レム睡眠とは、Rapid Eye Movementの略(REM)で急速眼球運動を伴う浅い眠りです。
ノンレム睡眠とは、レム睡眠の反対(Non-REM)なので、眼球の動きは停止し脳もしっかり休息する深い眠りです。
私たち人間の睡眠にはサイクルがあり、レム睡眠とノンレム睡眠が約90分周期で変動します。そして徐々に朝の覚醒に向けてレム睡眠が優位となって朝を迎える準備が整っていきます。※1
赤ちゃんの睡眠メカニズム
では、赤ちゃんの場合をみていきましょう。
大人の睡眠サイクルは約90分周期ですが、赤ちゃんはその半分、約40~50分周期と言われています。睡眠サイクルは生後3~4か月の頃に確立され、成長と共に徐々に長くなり、5歳くらいで大人と同じ90分ほどの長さになります。つまり赤ちゃんは睡眠中、40~50分に一度は浅い睡眠に入っているということになるんですね。
また、次のグラフのように、私たちは寝ている時浅い睡眠と深い睡眠を波のように繰り返しますが、赤ちゃんは大人と比べて全体的に睡眠が浅いです。少しの刺激ですぐに起きてしまう赤ちゃんがいるのも、この睡眠サイクルの短さと浅さが関係していることがお分かりいただけるかと思います。
2. 赤ちゃんの睡眠サイクル
浅い睡眠と深い睡眠を波のように繰り返すとお伝えしましたが、一回の周期(睡眠サイクル)はどうなっているのでしょうか。
こちらの図のとおり、入眠してから一度深い睡眠に入りますが、30分くらい経つと徐々に浅くなっていきます。この時、赤ちゃんは目を覚ましやすくなるんですね。お昼寝してても毎回30分で起きてしまう!というお悩みをよく相談されますが、それにはこの睡眠サイクルが関係しています。
もちろん、浅い睡眠に入っても覚醒せずに眠り続けることも可能です。それでもなお覚醒してしまう赤ちゃんがいるのは何故でしょうか。
それは、
①睡眠環境
②寝かしつけのタイミング
③寝かしつけの方法
この3つが大きく関係してくることが多いです。
今回は①睡眠環境について詳しく解説していきます。
(②と③は次回のコラムでお伝えしますので、お楽しみに!)
3. ねんねと深い関係性のある体内時計とは
私たちは、地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、朝になると目を覚まし、夜になると眠ります。24時間の周期で体内環境を変化させる機能を持っているわけですが、体温やホルモン分泌などのからだの基本的な機能も約24時間のリズムを示すことがわかっています。※2
この約24時間周期のリズムを概日リズム(Circadian Rhythm)と言います。
これまたちょっと難しい話をしてしまいましたが、「体内時計」という言葉なら聞いたことある方も多いと思います。この体内時計は、私たち生物が持つ概日リズムで、「光」と「ホルモン」と強く関係しているのです。
生後2~3か月頃に整う体内時計
産まれてすぐの赤ちゃんは昼夜逆転していることもあり、昼も夜も関係なく2~3時間おきに寝たり起きたりを繰り返すことが多いです。
その後、個人差はありますが生後2~3か月頃になると体内時計が整い、徐々に夜は長く寝るようになっていきます。ママパパも夜間に少しは睡眠が取れるようになってきて、少し時間と心に余裕が出てくる頃でしょうか。
ですが体内時計は光と強く関係があるため、明るい昼間のお昼寝が短くなったり、明るい場所だと寝づらくなってくることもあります。赤ちゃんは日々成長しているので、それに伴って睡眠も変化していくんですよね。そんな時には、まず赤ちゃんにとって寝やすい環境を整えてあげることが大事になります。
前回のコラムで解説した、暑さ対策として理想の室温と湿度、そして寝る時の服装についても大事なポイントですので、まだご覧になっていない方は是非チェックしてみて頂きたいと思います。
今回は他に大切な要素となる「光と音」そして「ホルモン」についてお伝えします。
前回のブログはこちら★
【睡眠コンサルタントコラム】赤ちゃんのねんねにおける暑さ対策~SIDSを防ごう~
4. 睡眠サイクルと体内時計を意識してねんね上手に!
光を味方に
生後2~3か月を過ぎた赤ちゃんが上手く寝付けなかったり、長く寝られなかったりするのは、実は部屋が明るすぎたり、窓から光が漏れていることが原因かもしれません。睡眠環境に大事な要素「光」を味方につけるだけで、昼寝をしてくれるようになったり、夜間に長く寝られるようになることがありますので、次の4つのポイントに気をつけてみてください。
ポイント① 日光浴で睡眠スイッチON
朝、日光を浴びたときに体内時計がリセットされ、元気よく1日をスタートできます。そして、夜になると眠くなるホルモン「メラトニン」が分泌され、ぐっすり寝てくれるようになります。朝起きたら、15分程度日の当たる場所で過ごしましょう。
ポイント② 夕方以降は寝るモード
外が暗くなると身体は自然と眠たくなるようになっていますが、そんな中、蛍光灯の明かりを浴びるとまだ明るい時間だと体が勘違いし、メラトニンの分泌が抑えられてしまいます。
夜寝る前は照明を暖色系の色味に切り替えたり、間接照明を使うなど薄暗くすることで、体を寝るモードに促してあげましょう。
ポイント③ 脱・ブルーライト
赤ちゃんにとってテレビやスマートフォンは刺激が多く、ブルーライトは眠りを妨げる原因となるため、寝る1~2時間前からテレビを消し、ブルーライトを遮断しましょう。
寝る前はゆったりと過ごし、自然と眠くなるような雰囲気を作っていくことが大切です。
ポイント④ 真っ暗な寝室
わずかな光にも敏感な赤ちゃんもいます。寝室は、できるだけ一筋の光も漏れないような暗さを作ってみることをおすすめします。
天井についている豆電球を常夜灯としてつけるのも、光が直接目に入り、赤ちゃんにとっては明るすぎます。夜間授乳やおむつ替えのときは、授乳ライトなどを足元に置くようにしてみてくださいね。
音に敏感な赤ちゃんも多い
個人差がある部分ではありますが、音に敏感な赤ちゃんも多いです。とはいえ静かな環境が好ましいわけではないので、寝ている間は忍者のように過ごす必要はありません!生活音や外からの騒音等で眠りが浅くなってしまわないように工夫することが大切です。
<ホワイトノイズを使ってみましょう>
ホワイトノイズとは、掃除機やテレビの砂嵐のような音や、川の水が流れる音などの自然音のことを言います。お腹の中で聞いていた音と似ていると言われていて安心してくれる子が多いです。以下のような環境で、ホワイトノイズマシーンやアプリなどで流してあげてください。
◆音量は50dB程度
◆赤ちゃんから2mほど離す
◆寝かしつけ時から起きるまでずっとかけ続ける
これで赤ちゃんが安心できる睡眠環境が整い、快眠に繋がる土台が完成しました!まずは環境を作るところからスタートです。コクーンスワドルバッグでモロー反射を防ぐことをねんねに活かすには、環境が整っている必要があります。
ここから始まるぐっすりねんねへの道。ちょっとでも寝かしつけに悩みがある方は、是非意識してみてくださいね。
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この記事の監修・執筆
『BABY SLEEP SCHOOL TOKYO』様
ゆいなだ陽子さん
慶応義塾大学法学部を卒業後、大手国際法律事務所に就職。社会に直接還元できる仕事をしたいという想いを強くし、17年のキャリアを離れ、スリープコンサルタントの活動をスタート。
吉岡ゆうこさん
青山学院大学英米文学科を卒業後、大手企業の海外営業や国際税理士事務所のバイリンガル秘書として勤務。2014年にオーストラリアで長女を出産。現地でネントレに出会い、毎日が見違えるほど楽しくなった経験が、現在の活動の原点となる。
まとめ
いかがでしたか。
次回はいよいよ最終回。「スワドルで寝れない赤ちゃんにまず試してほしいこと」についてお伝えしていきます。お楽しみに!
※1 厚生労働省 e-ヘルスネット 眠りのメカニズム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-002.html
※2 厚生労働省 e-ヘルスネット 体内時計
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.html