【睡眠コンサルタントコラム】ホワイトノイズとは?赤ちゃんの睡眠への効果や使い方を詳しくご紹介
大好評の子どもの睡眠相談室『クークールナ』川口様とのコラボ企画第二弾。
最初のコラムは、ホワイトノイズについてご紹介したいと思います。ホワイトノイズとは?に加えて、赤ちゃんの睡眠への効果やホワイトノイズの使い方など詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
親子の安眠「ホワイトノイズ」
赤ちゃんの睡眠だけでなく、大人も安眠のための大事な要素は3つあります。
①音
②明るさ
③温度
今日はその「音」のお話をします。
眠る時は、脳は外からの刺激の処理を少しずつ減らして寝ていきます。眠る時は目を閉じていますから最後に残る感覚は音になります。寝ようとする時、寝ている時に、何か気になる音が聞こえたら、睡眠を中断して確認するためなかなか眠れません。この音の刺激を心地よく減らしていくのが「ホワイトノイズ」です。
ホワイトノイズとは
ホワイトノイズは低い音から高い音の音域、すべての音域が含まれる音のこと。ホワイトノイズには、含まれる音域の割合により、種類がありますよ。
●ピンクノイズ:低い音域が強い「ザー(雨や川のせせらぎ)」
●ブラウンノイズ:低い音域がピンクノイズよりもさらに強い「ゴー(飛行機の機内のエンジン音)」
●ホワイトノイズ:どの音域も同じ強さ「サー(換気扇、テレビの砂嵐)」
と呼ばれています。色は光の波長の割合で変化しますのでそれを音域になぞらえてネーミングしています。
今日は、これらの音をまとめて「ホワイトノイズ」と呼んでお話をします。
ホワイトノイズの効果
ホワイトノイズの効果は、大きく分けて2つあります。
①ママのお腹の中の環境「胎内環境」を再現効果
小さい赤ちゃん(生後3カ月頃まで)はママのお腹の中の環境を再現してあげると安心して寝やすくなります。ママのお腹の中では常に、ママの身体の音や外の音が聞こえていました。この音の環境をホワイトノイズで再現してあげるのです。
低月齢の赤ちゃんを対象にした研究ではホワイトノイズがある方が入眠までの時間が短かったという報告もあります。
参考:J A Spencer, et al., 1990, White noise and sleep induction, Arch Dis Child. 1990 Jan; 65(1): 135–137.
②気になる音・突然の音を隠す「音のカーテン」効果
音の刺激は、音の大きさはもとより、音の内容、静かなところでの突然の音は刺激が強いもの。
常にバックグラウンドでホワイトノイズを流すことによって、「気になる音」を覆い隠す「音のカーテン」の効果があります。
小さい赤ちゃんのモロー反射は音でも起こります。静かなところ
また、ホワイトノイズにはあらゆる音域が入っていますのでノイズキャンセリングの効果も。
こうしたバックグランドノイズとしての効果は赤ちゃんの睡眠だけではなく、仕事や勉強に集中したい時、病院の大部屋などでも活用されるもの。家族や兄弟が同じ部屋で寝る時は家族全員の睡眠の質が上がります。
ホワイトノイズの使い方
①音の選び方
人の耳は高い音域の音に敏感といわれています。また、ママの胎内環境を再現する目的で使用する場合、羊水は高い音域が伝わりにくくカットされているとのこと。
高音域に含まれる音が少ないピンクノイズやレッドノイズの方が心地よく感じる方が多いかもしれません。
ただし、寝やすい環境で大切なのは「自分が感じる心地よさ」です。音の感じ方は個人差が大きいので自分が耳障りに感じない音を選ぶのが一番です。
赤ちゃんに「好きな音」を聞くことはできませんので、ママが心地よいと思う音色を選んであげてください。
②音量
2023年にアメリカ小児学会から音への暴露に関する注意喚起が発表されました(※1)。これは、睡眠の環境に限らず、イベントの音や住居環境を含め騒音が子どもに影響を与えることにも意識を向けることの必要性を喚起するものです。
アメリカ小児学会では、子どもを55デシベル以上の音に長時間さらさないことを一つの基準としています。
安眠アイテムとしてホワイトノイズを使用する時は赤ちゃんの耳元での音量が55デシベル以下になるように設定。家族が寝しずまったら音量を落とすか音を切ってください。
ただし、55デシベルを超えた音で直ちに悪影響があるものではありませんので神経質になり過ぎなくても大丈夫。アメリカ小児学会によれば、70デシベル以上を長時間聞いていると影響を及ぼし始め、落雷やジェット機の離陸時の音ほどの音(120デシベル)は直ちに聴力に及ぼすとのこと。こんなに大きな音は通常では長し続けることはないでしょう。
【音量の目安】
赤ちゃんの枕元の音量が
●家族の生活音が聞こえる時間帯:55デシベルまで
●家族が寝静まったら:40以下に落とす
*あまりに小さすぎて音をかき消す効果がなくなるとホワイトノイズの効果もありませんのでご注意を。
※1:AAP Sounds Alarm on Excessive Noise Risks to Children, healthy children.org
この記事の監修・執筆
子どもの睡眠相談室『クークールナ』様
川口リエさん
オーストラリアクィーンズランド州立大学環境科学学部卒業。
東京都出身。札幌市在住。2児の母(11歳の男の子、6歳の女の子)
CISA認定小児スリープコンサルタント講師。
長男を出産を機にライフワークバランスを模索して、公共事業を手がけるコンサルタントとして独立(Rebrote設立)
長男の2年間の夜泣きに悩みながらの社会復帰の経験から、長女の妊娠をきっかけに子どもの睡眠についての情報収集・勉強をスタート。
2018年子どもの睡眠相談室CoucouLunaクークールナ開設し1700件(2024年2月現在)を超えるご家族サポートと、睡眠講座の講師を務める。
ワーママサポートや、双子育児、きょうだいでの寝かしつけ等、ご家庭に合わせたコンサルティングを行っている。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ホワイトノイズを正しく使って、赤ちゃんの睡眠だけでなく、ママもパパも兄妹も含め、みんなの安眠につなげていけると良いですね。
次回もお楽しみに。